子供とドイツ珍道中物語⑤~フュッセンとお城~

我が子のお話し

子供とドイツ珍道中物語④のつづき

さて、5日目の朝です。いよいよノイシュバンシュタイン城に向かいます。この日はまず、ミュンヘン空港からバスでミュンヘン中央駅に向かいます。空港で朝ご飯を買い、バスで食べることにしました。何を食べたかは忘れました。

ネットで調べていた情報では、空港から駅までだいたい40分くらいとなっていましたので、事前にチケットを取っていた電車の1時間くらい前に出発するバスで間に合うだろうと考えていたのですが、なんだかその日は車がやたらと混んでいて全然着きませんでした。なんと、残念なことにタッチの差で乗り遅れる結果となってしまったのです。時間を読み違えた私は、母と娘たちに謝りつつ、ひとまず次の電車に乗るにはどうすれば良いかを駅の人に聞いてみることにしました。

チケットは事前に申し込み、ネット上で発行されたものを印刷して持って行く形式でしたので、その印刷チケットを駅の方に見せながら、「この電車に乗り遅れてしまったのですが、どうすれば良いですか?」と聞いてみますと、結構あっさり、「次の電車に乗ってください。」と言われました。確かに、座席指定とかではなかったので、考えて見れば同じことですが、一応、チケットには前の時間が表記されていましたから、「私は、チケットを買い換える必要はありますか?」と伺いますと、「そのままのチケットで乗れますが、このチケットに書いてある電車はフュッセンまで直通でしたけど、次の電車はブーフロー駅で乗り換えが必要です。」と教えてくれまして、一安心。次の電車まで、1時間近くあったのですが、とりあえず行けそうだから、まあ、待てばよいかとなりました。予定では、フュッセンの町で昼食を取ろうかと考えていたのですが、なんせ、1時間のロスですから、やっぱり電車で食べようかと駅で何か買おうと見て回っていると、子供たちがアイスの屋台に釘付け・・・。まあ、待たせちゃってかわいそうだし、買ってあげようか?ってなかんじで、駅の端っこに座ってアイスタイムとなりました。ドイツにしては、異例の暑さということで、どんどん溶けてきて・・・。大変でしたが、何とか親も協力して食べきり、満足そうなお二人。

さて、忘れてはいけない、昼食のお弁当、何が良いかな?と探し回っていると、長女が、

「これ、お寿司?」

と一言。

「本当だ、お寿司だ。」

と母。

どうにも、ドイツの食事が合わない次女が「お寿司が良い!」となりまして、もちろん、日本のお寿司の方がずーとおいしいので、私としては、せっかくだからドイツ料理の方が・・・。と思ったりもしたのですが、結局、外国製お寿司の詰め合わせを買いました。子供たちが食べてくれれば、何でも良いですものね。

そうこうしているうちに、1時間はあっという間で、もう次の電車がホームにスタンバっております。

早速乗り込みますと、二階建ての車両があって、これは子供たち、当然のように2階座席に直行です。とてもきれいな電車で、すいていましたので、気持ちよく快適な列車の旅を楽しめました。ミュンヘンを出発してわりとすぐに都会は終わり、郊外というか、もはや田舎でしょうか。車窓には、雄大な景色が続きます。日本の車窓も好きですが、ドイツはとりあえず、広いと感じる開放的な風景が多かったです。

車窓の景色

しかし、本来、乗り換えに自信が無くて直通電車にしたものですから、私だけはうかうかと景色ばかりを見ていられません。また、ドイツ語で発音良く「Buchloe」と言われてもそれがブーフローだとわかるかな?スペルはどう書くのかな?と、とにかくスマホで調べて、停車駅に近づく度に車内の電光表示をずっと気にしておりました。何も考えずに、きれいな電車と見たことの無い景色に、はしゃぎまくる娘たちがうらやましい。でも、ちゃんと間違えずに乗換駅で降りられました。数分待って、乗り換える電車も到着し、ここは割とスムーズに行きまして、これまた一安心。あとは、とりあえず、終点まで行けばよろしいのです。ここからは、私もゆったり楽しめました。

フュッセンの駅は小さなかわいい駅でした。ここから、ノイシュバンシュタイン城のあるホーエンシュヴァンガウにはバスに乗らなくてはならないのですが、フュッセンは町並みの素晴らしさが評判ですから、少しくらい見たいよねということで、フュッセンの町を散策することにいたしました。フュッセンはザルツブルクから始まるロマンチック街道の終点なんだそうです。本当に素敵な建物が多く、町並みの美しさは見事でした。また、町中の建物にはいたる所にだまし絵があります。ただの窓のまわりにリアルな絵を描くことで、まるで豪華な出窓のように見えたり、窓がたくさんあるなと思って、よく見ると、窓ではなく壁に絵が描かれていたり、レンガが積み重なっているのかと思いきや、それも絵だったり。なんでこんなにだまし絵だらけなけなのかは良くわかりませんでしたが、多分、フュッセンにあるホーエス城というお城がだまし絵だらけだそうで、その影響かな?普通の商店や教会など、どこかしことだまし絵が描かれていました。

フュッセンの町並み

駅から街散策に向かう途中で日本人を発見、多分同じ電車に乗っていたのだと思われます。しかも、長女と同世代と思われる女の子とそのおばあちゃまらしき2人組で、当たり前のように長女の餌食になりまして・・・。

唐突に

「日本人ですか?どこから来たん?」

なんて、話しかけ始めました。はじめ、少しびっくりした様子の女の子でしたが、おそらく、長女の関西弁的イントネーションに気づき、

「大阪から来ました。」

とすぐに、返答してくれました。そうしましたら、長女が大興奮

「私は、京都やで、ドイツでおとなりの大阪の人に会えると思わへんかった、嬉しいな!!」

と喜びの押し売りを始め、お2人に付いていってしまうのです。女の子に長女が年を聞くと、確か1つ上だったんじゃなかったかな。そんなこんなで、本当にご迷惑だったと思うのですが、少しの間一緒に散策させていただきました。それでも、お互い予定は違うので、さよならしましょうと長女を説得、今、初めて会った人なのに、積年の友達のように振る舞うのですから、いったいどういう精神の持ち主なのか。なんとか、やっとさよならとなった時、

「記念に写真とってや!」

と長女。というわけで、取っていただいた写真がこちら、

当然、意気揚々と横ピースを決めているのが我が長女です。勝手に寄ってきて、知り合いのように振る舞いたおす長女にしばらく付き合っていただき、本当にありがとうございました。

それから、坂を登り切ったあたりにあった聖マング市教区教会は中に入れましたので、お邪魔しました。ドイツ5日目ともなると、日本ではあまりお目にかかれない教会の雰囲気にすっかり魅せられている様子の次女は、だまって、スーッと入っていき、お椅子にチョコンと腰掛けて、天井を眺めながら、全然動かなくなってしまった。一方の長女は、相変わらず、写真をパシャパシャと全く落ち着く気配もありません。なんなんだ、この姉妹は、実に対照的です。しかし、あまり一所でゆっくりしていてももったいないので、もう行こうかと言いましても、全く聞こえていない様子の次女。次女は自分の世界に入ると人の声が聞こえなくなるんですよね。次女は次女でかなり独特な世界観の持ち主なんです。いつも空想の世界をふわふわしてるような感じ。時々、空想と現実の境目がわからなくなるレベルです。長女のような激しさはありませんが、これはこれで、相当な変わりものなのです。おそらくこの時も心ここにあらず、何か素敵な世界を空想していたのかもしれません。ここで母が

「すこし、ゆっくりしたいよね。私だってゆっくりしたいもの。」

と次女を擁護してましたが、彼女に私の声が聞こえないのはそういう問題ではないのです。

教会を出て脇の道を上るとホーエス城があるようでしたが、この時は立ち寄らず、町中の方に降りていきました。途中、フュッセン市博物館の建物も面白くて、外だけ眺めました。やっぱりだまし絵がたくさん。本当は中に入りたかったけど、絶対、時間が足りなくなる自信があったので、我慢して、駅方向にむかいます。

フュッセン市博物館の建物

途中、カフェでジュースを1杯づついただきました。とても楽しかったです。また、行きたいと思う街でした。しかし、今回はノイシュバンシュタイン城が目的地、駅にもどってバスに乗らなくては到着しません。時間は事前に調べておきましたので、待たずに乗車できました。

終点はお城のある山の麓です。終点に近づくとバスの中からもノイシュバンシュタイン城が見えてきます。「あれを見に行くんだよ。」なんて話しているうちに到着です。

バスを降りたら、山を登らなくてはいけません。実は、事前に調べて山の上まで行くバスがあるはずだったのですが、そのバスが全然見つからなかったのです。バス停らしき場所はあるのですが、あまりにバスの気配がないので、焦ってしまいました。色々な人に聞きましたら、歩いて登る道を教えてくれる人ばかり。でも、荷物を持って4歳児つれて妊婦と前期高齢者が今の疲労感の中歩いて登るのはしんどいな・・・。すると、やっと、「歩いて登ってもよいけど、小さな子供さんもいるし馬車で行けば!」と助言してくれた人がいまして、そういえばさっきから目の前を馬車が行ったり来たりしていたんですけどね・・・。馬車があることは知っていたのですが、行きはバスで行って、帰りは馬車でと思い込んでいたので、それを中々やらなかった私・・・。さっさと乗れば良かったな。

当然ですが、馬車なんて初めてです。子供たちは大はしゃぎ、母と私は、ここまでの移動が大変で、この頃にはぐったりでした。

宿泊したホテル

この日の夜はお城に一番近いところにあるホテルを取っていました。シュロスレストラン・ノイシュバンシュタインというホテルです。ちょっと残念だったのは、あとで調べるとレストランのお食事に結構色々なメニューがあったようなんですが、私がバスの件でモタモタしていたもので、レストランの閉店時間ぎりぎりになってしまって、いわば、日本でも食べれそうなミートソースのスパゲッティ的なもので終わってしまったことです。それでもお部屋はとてもかわいくて、天蓋付きの大きなベッドがありました。お姫様のベッドみたいと娘たちが大喜び。それに、わりとゆったり目のソファーがありまして、でも、それだけ。どうやって寝ようか?と相談した結果、母がソファーで寝て、大きなベッドには親子3人で川の字寝をすることに決定しました。

少し、夜が更けてきたころ、ちょっとだけお城を見にいってみました。当然、夜ですから、しまってますが、夜空に浮かび上がるノイシュバンシュタイン城もなかなかおつです。「明日は、中に入ろうね」と期待を膨らませて、天蓋付きベッドで就寝。私もあんな本格的な天蓋付きベッドは初めてでした。

夜のノイシュバンシュタイン城

子供とドイツ珍道中物語⑥-1へ続く

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